チュートリアル講演
チュートリアル講演 TL01
生成AIの開発・利用に関する法的課題のクリアとオープンデータの利用

講師
柿沼 太一 氏(STORIA法律事務所パートナー弁護士)
概要
生成AIに限らずAIの開発・利用に関しては、各種法規制(個人情報保護法制等)、知的財産権(特に著作権)をクリアする必要があります。「開発」と「利用」では注意点が異なりますし、「開発」といっても大規模なデータを収集して大規模モデルを開発する場合と、比較的小規模なデータで追加学習を行う場合では注意すべき事項が異なります。検討すべき論点は多数ありますが、本講演では特定の論点を深掘りするのではなく、実際に聞かれることが多い御質問事項をベースに、「開発」「利用」両フェーズについて、全体の概要を掴んで頂けるようにします。さらに、AIの開発に際してはオープンデータやOSSを利用することも多いのですが、それらのデータ等に付されているライセンスをどのように読み解くのかについてのご相談も多く頂きます。そこでAI開発に役立つライセンスの基礎、及びオープンデータ等を用いて開発した成果物をどのようなライセンスを付して公開すればよいのかについても解説をいたします。
略歴
2000年弁護士登録。2015年にスタートアップのサポートを重点的に取り扱うSTORIA法律事務所を共同設立して現在に至る。専門分野はディープテックスタートアップ法務、AI・データ法務、ヘルスケア法務。経済産業省「AI・データ契約ガイドライン」検討会検討委員(~2018.3)。スタートアップファクトリー構築事業に係る契約ガイドライン検討会構成員(2018年)日本ディープラーニング協会(JDLA)理事(2023.7~)日本データベース学会理事(2020.8~)。「第2回 IP BASE AWARD」知財専門家部門グランプリを受賞(2021) 。「オープンイノベーションを促進するための技術分野別契約ガイドラインに関する調査研究」委員会事務局(2021~)。
チュートリアル講演 TL02
作りながら紐解いていく動物の適応的な行動の発現メカニズム

講師
青沼 仁志 氏(神戸大学)
概要
生物は,多様な形態を進化させるとともに多様な行動を進化させて,多様な環境に適応している.昆虫は,1億年前には地上に出現し,その姿形は現在とさほど違いがない.地球上には95万種ほどの昆虫が知られる一方で,哺乳類は6千種程度である.したがって,地球はいわば昆虫の惑星とも言える.この様に繁栄した動物種を題材にすれば,動物に普遍的な適応的な行動の発現を司る脳や身体の設計原理や制御原理を紐解くことができる.生物学は,生命の謎を解き明かすことに貢献している一方で,行動の発現メカニズムについての研究はなかなか進まない.そのひとつの原因は,断片化された知見と行動との間にあるギャップを埋めることが難しい点にある.この課題解決には,数理モデルやスケールモデルを作って動かして理解する方法が有効である.講演では,昆虫の脅威に対する応答を題材として,状況に応じた行動の制御を紐解く研究事例を紹介したい.
略歴
- 1998年 3月 北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻博士後期課程 学位取得 博士(理学)
- 1998年 4月 博士研究員, School of Biological Sciences, University of Southampton, U.K.
- 1999年 1月 日本学術振興会 海外特別研究員,派遣先:School of Biological Sciences, University of Southampton, U.K.
- 2001年 1月 北海道大学・電子科学研究所・助手
- 2003年 7月 北海道大学・電子科学研究所・助教授(2007年4月1日から准教授に名称変更)
- 2021年 9月 神戸大学・大学院理学研究科・教授(専任 現在に至る)